逸失利益

逸失利益には、「死亡事故による逸失利益」と「後遺障害による逸失利益」があります。

1、死亡事故の場合

  この場合の逸失利益とは、被害者が生きていれば得られであろう将来の見込
  みの収入のことです。

 @自賠責保険の規定

   支払い限度額は、3,000万円です。
   但し、この金額は葬儀費、逸失利益、慰謝料等すべて含めての金額です。
   (葬儀費については、原則60万円が支払われます。)

   また死亡に至るまでの治療費等については、「傷害」の場合と同じく
   120万円を限度に支払われます。

   逸失利益については、下記の算式によります。

   (収入額−本人の生活費)×死亡時の年齢に対応するライプニッツ係数

  ■収入額−下記の内、年齢.職業などにより判断・適用されます。

   ・事故前の1年間の収入
   ・前年齢平均給与額の年相当額
   ・年齢別平均給与額の年相当額

  ■生活費−ほとんどの場合、立証が困難なため下記の規定によります。

   ・被扶養者がいる場合  −年間収入(相当額)の35%
   ・被扶養者がいない場合 −年間収入(相当額)の50%

  ■ライプニッツ係数−年5分の複利による中間利息分の控除の係数です。

 A自賠責保険以外の基準

   原則として、下記の算式によります。

   (収入額−本人の生活費)×死亡時の年齢に対応するライプニッツ係数

  ■収入額−原則として、実収入の額を基礎にします。
         但し、その額が年齢別.学歴別平均収入額又は学歴計全年齢
         平均額より著しく低い場合は、判例に照らして平均収入の額を
         限度にして引き上げられます。

  ■生活費−死亡者の状況に応じて区分されます。

   ・一家の支柱の場合        −年間収入の30〜40%
   ・女性(女児.主婦を含む)の場合 −年間収入の 30〜40%
   ・男性の単身者の場合       −年間収入の30〜50%

  ■ライプニッツ係数−年5分の複利による中間利息の控除の係数です。

2、後遺障害の場合

  この場合の逸失利益とは、後遺障害により、その人の労働能力が低下した
  ことにより、将来働いて得られるべき利益が得られない損害のことです。
  この場合の就労可能年数は、原則67歳までとします。

 @自賠責保険の規定

   各後遺障害等級の支払い限度額の中で、下記の算式により支払われます。

 <自賠責損害賠償保障法施行令別表第1(重度後遺障害)>

   等級  支払限度額  慰謝料   → 被扶養者有り  初期費用

    1  40,000,000  16,000,000   18,000,000    5,000,000
    2  30,000,000  11,630,000   13,333,000    2,050,000

 <自動車損害賠償保障法施行令別表第2>

   等級  支払限度額  慰謝料   → 被扶養者有り 

    1  30,000,000  11,000,000    130,000,000
    2  25,900,000   9,580,000    11,280,000
    3  22,190,000   8,290,000
    4  18,890,000   7,120,000
    5  15,740,000   5,990,000
    6  12,960,000   4,980,000
    7  10,510,000   4,090,000
    8   8,190,000   3,240,000
    9   6,160,000   2,450,000
    10   4,610,000   1,870,000
    11   3,310,000   1,350,000
    12   2,240,000    930,000
    13   1,390,000    570,000
    14    750,000    320,000


   逸失利益は、下記の算式によります。

   収入額×労働能力喪失率×稼動年数に対応するライプニッツ係数

  ■収入額−下記の内、年齢.職業などに応じて、いずれか高い額とします。

   ・事故前1年間の実収入
   ・後遺障害確定前1年間の収入額
   ・年齢別(男女別)平均(月額)給与額×12ヶ月

  ■労働能力喪失率−後遺障害等級表に規定されている、第1級から第14級
               に対応する労働能力の喪失した割合です。

  ■ライプニッツ係数−年5分の複利による中間利息の控除の係数です。

 A自賠責保険以外の基準

   逸失利益の算定については、下記のように2つの考え方があります。

   @差額説

    後遺障害があっても、事故前と現実的に収入の減少がなければ、逸失
    利益は認められないとする考え方です。 

   A労働能力喪失説   
    
    たとえ現実的に収入の減少がなくても、労働能力の喪失自体を損害と
    して、逸失利益を認める考え方です。

以上から、個々の事案により内容・事情などが異なりますので、過去の判例等を参考にして判断します。

そこで「労働能力が喪失したことによる損害が認められる事案」の場合、原則として下記の算式になります。

   収入額×労働能力喪失率×稼動年数に対応するライプニッツ係数  

  ■収入額−実収入が平均賃金よりも高い場合は、実収入額とします。
         また、将来の収入の増加の蓋然性が認められる場合は、
         実収入額以上とします。
         但し、この場合も平均賃金に対する一定率の割合によります。

  ■労働能力喪失率−自賠責保険の規定を基準として個々の事案について、
               諸般の事情を考慮して決まります。
                
  ■ライプニッツ係数−年5分の複利による中間利息の控除の係数です。

※任意保険の基準について

  任意保険の場合、上記のように自賠責保険やそれ以外(主に判例)に拘束
  されることなく、独自の社内基準(規定)により、賠償額が提示されます。

  具体的には、算定の基礎となる「収入額」については、原則として有職者の
  場合は、事故前1年間の現実収入額とします。
  また、「労働能力喪失率」は自賠責保険の基準を一応参考としますが、被害
  者の障害の部位・程度や年齢・性別・職業・現実の収入額等を勘案して決め
  ます。
  「労働能力喪失期間」も同様に、被害者の諸般の事情を基にして、判断され
  ます。
  

以上のように、自賠責保険とそれ以外では、逸失利益の算定方法及び各算定
要素(項目)の基準が大きく異なります。

さらには個々の事案により、同様にすべてが異なります。
その為、それらのすべてを総合的に判断する必要があります。

そこでまずは当事務所にご相談下さい。
各規定、資料、判例などを総合的に確認.検証.精査して、算定させていただき
ます。
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